小善と大善
部下から嫌われたくないと思い、厳しいことを言わず、部下を甘やかす小善は、部下に課題があったとしても「このままでいいんだ」と思わせ、本人の成長する機会を失わせ、会社としては脆弱な企業体質をつくってしまいます。
最悪は会社を経営危機にさらし、リストラをしなければならないという、大悪を犯してしまいます。
部下に嫌われても、非情に思われても、部下に対して厳しく指導することは、それが長い目で見て部下の成長に繋がるならば大善です。
結果、会社の業績が良くなって、従業員に大きな対価を還元できるならば大善です。
人は、「嫌われたくない」「いい人だと思われたい」と思い、問題があっても自らは厳しい意見は発しない傾向があります。
一見やさしく見える小善ですが、問題を放置することで、事態を悪化させ、取り返しの付かない事(大悪)になる場合があります。
大善というのは、時として非情に似て厳しいものです。
部下の将来を本当に考えるのであれば、きちんと指導をし、時には厳しく接すること(非情)が、長い目で見て本人のため(大善)になります。
表面的なやさしさは相手を不幸にします。
逆に信念をもって厳しく指導する上司は、非常に見えるかもしれませんが、
大局的に見れば部下を大きく成長させ、本人の利益に繋がります。これが大善です。
真の愛情とは、長い目で見て、相手にとってどうあることが本当に良いのかを厳しく見極めることです。
大善の為には、目先では、あえて嫌われることも必要です。
労働なき富
経営が厳しい状況で、従業員から好感を得るために安易に給与・賞与などをアップすることは、
一見思いやりがあるように思えるます(小善)が、それで会社が潰れて社員を路頭に迷わすようでは何の意味がありません(大悪)。
結果が出ない社員に対し、甘い評価をすると「労働なき富」が当たり前だと勘違いしてしまい
結果、その人を駄目にしてしまいます。
会社は利益があるからこそ継続するのであって、対価は社員の働き(役務)に応じて支払われるべきです。
部下の評価が甘い上司は、大悪を犯しています。
良心なき喜び
「自由に生きる」と自分の権利だけを主張して、周りの人を犠牲にするのはいかがでしょうか?
有給休暇は権利だからと言って、無計画に取得して、お客様に迷惑を掛けて、同僚に迷惑を掛けて、
会社に損失を与えてしまうことは、手放しに喜べることなのでしょうか?
有給休暇は積極的に取得すべきだと思います。ただし計画的に取得するのが理想的です。
独りよがりに「自由」や「権利」を主張したとしても、所属する組織や社会が滅びてしまっては意味がありません。
「自由」や「権利」は、自分が所属する組織や社会などの環境が整っていて成り立つモノです。
現代の風潮として、個人の「自由」や「権利」が強くなってきたと思いますが、「良心なき喜び」はいずれ滅びます。
社員の「自由」や「権利」をできるだけ認めてあげたいといった気持ち(小善)もわかりますが
組織や社会が滅びないよう、「義務」を無視した「自分本位の権利の主張」に対して、時には厳しいことを言う事(大善)も必要なのではないでしょうか?
道徳なき商業
たとえ業績が良くても、手段を選ばず、仲間を陥れたり、お客様に不利益を与えていてはいけません。
長い目で見て「その事業が上手くいくのか」「顧客が満足するのか」「社会に役に立てるのか」を考えなくてはなりません。
上司は直近の数字だけを見て、部下を褒めたり評価すると(小善)、目先は良いかもしれませんが、
長い目で見るとその商売は、顧客や社会から支持されなくなってしまいます(大悪)。
道徳なき商業は「大悪」です。志を持って、「社会のために」「顧客のために」「会社のために」役立つ仕事をすることが「大善」です。
人間性なき科学
テクノロジーの発達により、「便利だから」「新しいから」「速いから」良いといった風潮があります。
しかしながらそれを使うのは人間です。
コロナのワクチン予約システムをスマホで操作できるようにシステムを構築したとしても
高齢者から優先して接種するように政策を打ち出したとしても
いくら効果の高いワクチンを開発したとしても
一人暮らしの高齢者はスマホからコロナのワクチン予約ができません。
システムも制度も「人が有効に利用」できて初めて意味があるシステムになります。
テクノロジーが発達しても、「便利だから」「新しいから」「速いから」良いのではありません。
目先の目新しさだけで採用し(小善)、結果、利用し辛いシステムは「大悪」です。
「人間性なき科学」は「大悪」です。
科学はあくまでも手段の一つです。そこに「使いやすさ」「使う人への思いやり」が加えられないと
魂の入っていないシステムになってしまいます。
人格なき学識
知識を引用して、ロジカルに相手をマウントしたとしても、そこに負の感情が残ります。
わかりやすい言葉を使って丁寧に説明した方が、相手に親切ですし、腹の底から理解していただけます。
自分の主張を論理的に展開するだけでは無く、「相手にわかりやすく」「相手の気持ちを考えて」といった
相手の人格を尊重することが大切です。
目先の利益は小善、大局的に役に立つことが大善
物事の表面的なことだけを捉え、目先の利益を追い求めるのが「小善」です。
物事の本質を理解し、大局的に役に立つように務めることが「大善」です。
長い目で見ると、会社にとっても、顧客にとっても、社会にとっても、自分にとっても、役に立つ事が
「大善」だと思います。
表面的に「いい人」と思われたいのは、自己保身的であり、利己的な考え方です。
一時的に嫌われたとしても、大局的に相手のためになると考えて行動するならば大善だと思います。
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