定年退職
ついこの間、60歳を迎えまして、本来ならば定年退職の所、嘱託契約で雇用延長を行っていただきました。
嘱託契約とは、有期労働契約の雇用形態の一つで、正社員とは異なる契約です。
私の場合、1年契約なので、1年ごとに雇用延長が決まります。
とはいえ、60歳を過ぎても今まで通りに働けるのは有り難いことです。
世の中は、コロナで休業したり失職したり大変な時代になっています。
60歳で定年したとしても、年金が貰えるのは65歳からです。
生活費は必要なので、普通の人は、私と同様、少なくとも65歳までは働かないと生きていけないのではないでしょうか。
システムエンジニアとして新しい事を始める
私は定年を迎えましたが、この年齢でも一応「システムエンジニア」です。
会社では嘱託契約で取締役もやっていますが、小さな会社なので、役職があるからといってふんぞり返っている訳にもいきません。社員一人一人が売上や利益に貢献しないと、会社は存続できません。
先日、親会社から大きなプロジェクトのPMをやって欲しいという話があったので引き受けました。
しばらく実践から退いていましたが、あまり現場から離れると使い物にならなくなりそうなので、現場に出ることにしました。
PMといっても、最初のフェーズはPOC(概念実証)的なフェーズになるので、細かい技術的な情報を全て把握していなければなりません。大規模で短納期なので急いで技術情報をキャッチアップしなければなりません。
プロジェクトに参加して3日目ですが、焦って色々な情報をキャッチアップしていたので既にヘトヘトです。
私は、PMPというプロジェクトマネージャーの国際資格を持っており、取締役という肩書きからそれなりの契約金額で取引することとなります。とはいえ、実際はそれほど器用ではなく、人よりも努力してやっと人並みだと自分では自覚しています。ですから、期待されたバリューを出すために契約時間外で朝早くから準備を開始し、定時後も自分の時間を使って学習を行って、自分の能力不足を補っています。このような作業の仕方は、社員に強制すると法令違反となりますが、本人が「自主的にしているだけ」と言ってしまえば、違反ではないと思います。
この年齢で、システムエンジニアとして新しい技術に挑戦すると言うことは、それなりに覚悟を決めてやらなければなりません。やはり若い頃に比べると器用に新しい技術を吸収することはできなくなっています。
それでも、無理をしてでも新しい事に挑戦することは意味があることではないかと思っています。
加齢によって衰える
加齢によって、能力が衰えるのは当たり前だと思います。
齢をとると、脳が少しずつ委縮していき認知力が低下していうと考えられています。
高齢になると1年間に白質を約1%ずつ、灰白質を約0.7%ずつ、それぞれ喪失するそうです。
しかしながら、「加齢によって能力が衰える」かもしれませんが、だからといって諦めて何もしなければ、劣えるのが加速するのではないかと思います。筋肉は使わないと細くなりますよね。脳も使わないと委縮してしまうと思います。
そして、加齢は悪いことだけだと皆さんは思うかもしれませんが良いこともあるのです。
年齢を重ねると経験が増えてきますよね。
そうすると、ある程度、経験により適格に状況判断ができるようになってきます。
そして、若いときよりも交渉力が向上します。
これらの能力は人によるかもしれませんが、私の場合はそうでした。
最近、あるプロジェクトが炎上して、そのプロジェクトに支援で入ったのですが、あのまま放置していると数億円の損失になるところでした。若いPMにはそのリスクが判断できなかったのですが、私が客観的に分析して損失額を算出していて、その根拠を複数人で確認していただくとそのリスクの大きさを理解していただきました。私は経験から支援に入った直後にそのリスクの大きさと根本原因がわかりました。そしてお客様との交渉も私が主導して行いました。交渉も場数を経験していないと、相手の雰囲気に飲まれてしまいます。「火消し」の経験はこれまでもたくさんあるので、それらの経験が活かされたと思います。場数を踏むと言うことは大切だと思います。
加齢によって、体力や能力は衰えていきますが、経験は増えてきます。
経験が増えると状況判断や交渉能力が向上します。年齢を重ねると言うことは悪いことばかりでは無いと思います。
主観年齢
主観年齢とは自分自身で感じる年齢です。
主観年齢が実年齢より8~13歳上の人は、死亡や病気によるリスクが、通常の18~35%高いそうです。
主観年齢の低い人ほど、将来の自分について前向きな見解を持っているそうです。
加齢で脳が衰えるのは残念ながら避けられません。
しかし筋肉と同様、トレーニングすれば何歳からでも脳を鍛えることができます。
新しいことへのチャレンジすることで脳をトレーニングし老化を防ぐことができます。
年齢を重ねてから、新しいことをチャレンジすることは、大変な負担なのですが、新しいことをチャレンジすると新しい発見があります。
また、この年で思うことは、老いて初めて発見することもあります。
若い時とは視点が変わったのでしょう。
美術家の篠田桃紅さんが書籍「一〇三歳になってわかったこと」を出版され、2004年に45万部を超えるベストセラーになりました。彼女は「昨日の線と今日の線は違う。日々新たなものが宿る」おっしゃっています。
永遠にやり続けても、何歳になって新しい発見があり、美への追求はいつまでも終わらなかったのだと思います。
やなせたかし氏が、絵本の「アンパンマン」を描き始めたのは50歳からです。
そして絵本を原作とするアニメがテレビで放映され、メディアにひっぱりだこになるのは70代以降だそうです。
何歳からでも、「新しいことをやろう」という「想い」を持ち、新しい知識やスキルを学んで知力をつけ、気力と体力を機動力にして自分のキャリアを深めていくことは素敵だと思います。
老いても新しい事にチャレンジし続け、新しい発見をし続ける事が、「主観年齢」を若く保つコツなのではないかと思います。
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