品質コスト(Quality Cost)
品質コストには以下の4つのコストがあります。
- 予防コスト(Prevention Cost)
- 評価コスト(Appraisal Cost)
- 内部失敗コスト(Internal Failure Cost)
- 外部失敗コスト(External Failure Cost)
予防コスト(Prevention Cost)
品質不良を未然に防止するために費やされるコストです。
- 品質管理
- 工程管理
- 点検校正
- 設備保全
- 教育訓練
評価コスト(Appraisal Cost)
製品や、サービスが品質不良にならないために評価・テストするコストです。
- 受入検査
- 工程内検査
- 出荷検査
- 手直し品検査
- 長期在庫検査
内部失敗コスト(Internal Failure Cost)
出荷前・納品前に社内で発見された品質不良のために費やすコストのことです。
- 不良品処理
- 製造トラブル
- 設備トラブル
- 設計トラブル
- 機会損失
外部失敗コスト(External Failure Cost)
出荷後・納品後に発生した品質不良のために費やすコストのことです。
- 苦情処理
- リコール
- 信頼損失
- 物流トラブル
品質コストの大きさ
品質コストは以下の計算式で表されます。
品質コスト=予防コスト+評価コスト+内部失敗コスト+外部失敗コスト
品質コストは、初期の段階で不具合が見つかったほうが、コストが少なくすむと言われています。
例えば、製品の開発から販売の場合(設計→開発→テスト→出荷前検査→市場に販売)、設計段階で不具合を修正できるのとコストは少なくてすみ、市場に大量に販売された後だとコストが大きくなります。(設計<開発<テスト<出荷検査<市場に販売)
(出典:生産マネジメント入門 藤本隆宏先生)
大型のシステム開発プロジェクトで炎上しているケースは、要件定義が甘かったり、設計の不整合が残ったまま開発が進んでいる場合がほとんどです。
また、近年は、テストについて「単体テスト」レベルしか理解できていないケースが多く、「機能間結合テスト」「内部結合テスト」「外部結合テスト」「ショートシナリオテスト」「ミドルシナリオテスト」「ロングシナリオテスト」「イレギュラーケーステスト」「負荷テスト」「セキュリティテスト」「ユーザビリティテスト」などが区別できていないケースも多くあります。
そもそも「状態遷移図」「状態遷移表」ですら書けておらず、テストのカバレッジも意識されていない場合が多く存在します。システム開発の業界では、全体的に、汎用機の時代からアジャイルの時代に移り自由になった分、型が定まっていない状態に陥っているように思われます。
予防コスト<失敗コストです。
予防コストを省いて痛い目に遭うのは、当事者です。
早い段階でリスクを予想し、予防措置をとっておき、将来の不安要素を事前に解消しておく方がコストは圧倒的に少なくてすみます。
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