認知症における介護の難しさ | 人としての尊厳

生活

高齢者の一人暮らしにおけるトラブル

日本の人口の4人に1人が65歳以上であり、高齢者の占める割合は世界で最も高い水準となっています。
また、65歳以上の男性の8人に1人、女性の5人に1人が一人暮らしとなっています。
高齢者が認知症になると、一人で生活する事が困難になります。
一人暮らしは、生活レベルの低下のみならず、近隣住民とのトラブルを起こします。
犯罪や火事、ゴミ問題や事故など命に関わる危険性があります。
孤独死は人間の尊厳を損ない、家族や近隣住民などに心理的な衝撃や経済的な負担を与える事になります。
介護が必要と認定されているにもかかわらず、適切な介護サービスを受けられない65歳以上の高齢者の事を「介護難民」と言います。介護難民は2025年には全国で約43万人になると言われています。
日本は超高齢化社会になり、介護難民が大量に増えることが、社会的な問題になると思われます。

家族の介護における負担

認知症になると、記憶力や理解力が低下し、意思疎通が難しくなります。
よかれと思って、色々な提案をしても、正常な判断ができなくなり受け入れてもらえず、適切な介護が実施できないことが多々発生します。
家族が行う介護は、起床、着替え、移動、洗面、トイレ、食事(朝・昼・夕)、服薬、通院、外出、入浴、就寝など多岐にわたります。
自宅で介護をする人の7割近くが何かしらのストレスを抱えています。
介護する方にとって疲労・睡眠不足、お金の問題は、精神的・肉体的にかなりの負担を与えます。
在宅介護の大変さは「休みがない」「先が見えない」ことです。
介護をする方の多くが「介護うつ」になってしまいます。

介護者の負担を減らす

相談相手を持ち、精神的負担を減らす事が大切です。地域包括センターやケアマネージャなど、介護の専門家とコミュニケーションできるようにしましょう。
ひとりで抱え込んでしまうと、視野が狭くなり、精神的にも追い込まれてしまいます。
介護施設を利用するのも選択肢に入れるべきです。
日中だけお世話をしてもらうデイサービスや、ショートステイでの介護施設への入所も可能です。
要介護3、要介護4になると、食事・排せつ・入浴などの日常生活全般において全面的な介助が必要となります。
有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、完全に生活の場を移す事も検討した方が良いと思います。

認知症への接し方

認知症の度合いにもよりますが、本人にとって認知症になったという告知は相当のショックです。否定したいけど否定できない事実は本人の不安を増強させてしまいます。
「自分でできることは自分でする」というのは基本ですが、症状が進行するとこれまでできていたことができなくなります。このことも本人にとってはショックです。
認知症だからといって本人の気持ちをないがしろにして勝手に物事を進めるのはよくありません。
認知症は、その時の出来事を忘れても、そのときに感じた嫌な感情だけ残ると言われています。
やっかいなのは介護者に対して「この人は分かってくれない」と思われることです。
そうすると、利用者さんは心を閉ざし、その後の介護がスムーズにいかなくなります
私も冷蔵庫の中の腐った食べ物を勝手に捨てて、逆恨みされたことがあります。
患者さんとのコミュニケーションにおけるさじ加減は理解できない難しさがあると思います。

人としての尊厳

認知症になるとそれまでにできていたことができなくなってきます。
排せつでさえ助けが必要な状態で、人としての尊厳は何かというと考えさせられてしまいます。
だからといって、孤独死やネグレクトはもっと悲惨です。
人はいつか衰えて死にます。なるべく正常な判断ができる間に、いつか衰えた時に自分を介護してもらえる環境、安らかに死を迎えられる環境を準備できるようにすべきでは無いかと思います。
認知症になっても、「私はまだ大丈夫」と言ってまわりに迷惑を掛けまくって「醜く死ぬ」のは避けたいものです。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました