多くの日本企業は「技術志向」に陥っている | エンジニアは技術志向

コミュニケーション

プロジェクトの失敗

最近、大きなプロジェクトにおいて、取り返しのつかない大きな失敗が発生しました。
要件定義が甘く、ちゃんとスコープ定義ができておらず、お客様とのシステムの最終イメージが共有できていなかった為、いつまでもお客様の満足が得られなかったというものです。
スコープ定義が曖昧という事は、見積も甘く、またお客様からの要求も無限に増え続けるという、負のスパイラルにも入っていまいました。

当事者である、PMはお客様が無理難題ばかり言ってくると、「他責」にしており、反省しているのかわかりません。お客様側のPMも言った言わないの話をするばかりで、全ての要求が満たされていないと、次から次へ要求を出してきます。

正直なところ、どっちもどっちで、要求をまとめないお客様も悪いのですが、要件としてきちんとまとめれない開発側のPMにも問題があると思います。
私の経験から申し上げると「全ての要求を満たすシステムを目指すと100%失敗する」と思います。
ユーザーの要求は多岐にわたり、多くの要求を整理すると、相反するもの、矛盾するものが多く存在します。

また、費用対効果が少ない割にコストがかかりすぎてしまうものが多く存在します。
要件定義作業は「要件を拾う作業」ではなく「要件を切る作業」だと考えます。
要求の矛盾を整理し、重要度の高いものを選択し、効果の低いものはバッサリ切る判断が必要です。
はっきり言って、お客様のいう事を全てまともに受けていてはそのプロジェクトは予算オーバーとなり失敗してしまいます。

予算がいくらでも使えるなら別ですが、必要最低限の予算で最大限の効果を出せるよう、お客様を誘導することがプロとしての仕事だと思います。
もちろん、お客様の要求をバッサリ切るためには、その要求の内容やお客様の業務を十分理解しなければなりません。場合によっては、お客様以上に業務的な専門知識を持っていなければなりません。
そして、要件を思い切って整理したとしても、お客様として納得できるよう、要件定義書としてドキュメントをまとめ最終的に承認いただかなければなりません。

正直、これらを行うには、「業務知識」「技術力」「コミュニケーション力」「交渉力」「コンサルティング力」「マネージメント能力」など多岐に渡る能力が求められます。
今回担当した両社のPMは、これら全てが不足しており、取りまとめる能力が不足していたと思います。
とはいえ、仕事を受けた側の責任は重大で、ずいぶんコストを掛けて作業を行いましたが、お客様が満足しないモノであれば、対価はいただけないといった結論に至りました。
正直なところ、要件定義書についてはお客様も承認を一度行っているので、お客様の責任は全く無いかというと、ある程度はあると思いますが、これはプロとしての意地のようなものもあり、価値が無いと判断されるものに対して対価はいただかないといった結論に至りました。

エンジニアは技術志向

エンジニアは技術志向というのは、ごく当たり前の様に思えるのですが、システム構築の目的は、最新技術を使う事でも高度な技術を使う事でもなく、「人の役に立つ」といったシンプルなものです。
ですから、「最新技術」も「高度な技術」も「プログラミング」も全て目的に対する手段にすぎない訳です。

確かに「最新技術」や「高度な技術」を知っていると、目的を達成する為の手段を選ぶための選択肢が増えます。ですから、技術者にとって技術的知識は必須と言ってよいでしょう。しかしそれは手段であって目的ではない事を意識しなければなりません。
中途の採用面接をするとエンジニアが

「私はプログラミングをすること好きなので、いつもプログラミングの勉強をしています」
「私は新しい技術に興味があります」
「一生プログラミングに携わる仕事をしたいです」

とアピールしますが、プログラミングはあくまで手段であって目的ではありません。
だいたい技術志向の高い技術者にシステム開発させると、高度な技術を使って難解なロジックを組んでくるのですが、ユーザーからすると使いにくいシステムになっていたり、使えないシステムになったりします。
エンジニアはもっと、ユーザー思考で物事を考えるべきです。
ユーザー思考とは

「いかに考えたユーザーにとって価値のあるサービスか」
「いかに考えたユーザーにとって使いやすいサービスか」

であり、ユーザー目線でシステム開発を行います。
よってシステムエンジニアは「技術志向」と「ユーザー思考」の両面をバランスよく持っている必要があると考えます。

作ったものを売る会社から、売れるものを作る会社に

自社プロダクトを開発して販売している会社は多いかと思いますが、売れていない製品も沢山あるのではないでしょうか。
日本の家電製品は、高機能・高品質ですが、韓国や中国の安い製品に販売で負けている場合が多いかと思います。では、安ければ良いかというとそうでもない感じがします。
日本の家電製品は、機能が複雑でマニュアルを読まないと操作が分からなくて、使いにくいものが多いと思います。
アップル社のiPhoneやiPadは直感的に操作が分かります。
デザインもシンプルです。
値段も少し高めですが、かっこよくて、よく売れています。
日本の家電製品は、技術者の思い入れが強くて、本当にユーザー目線のものが少ないのではないでしょうか。
商品を選ぶとき、色々な視点があると思いますが、顧客にとって魅力的である事、魅力が分かりやすく伝わる事が必要です。
全てのユーザーにとって要件を満たす製品を作ろうとすると、デザインは複雑になり、機能は盛りだくさんになります。
顧客ターゲットを絞り、コンセプトを明確にし、デザインをシンプルにすることはとてもセンスのいる作業です。
商品を開発するときに、ユーザーの利用イメージが想像できることは非常に大切です。
ターゲットを絞ると、消費者ニーズには偏りが出ます。そこでコンセプトが重要になってきます。
消費者を深く理解することが、売れる製品を作り出すポイントとなります。
技術者目線だけで、製品を作って売ろうとしても売れません。売れる製品を作らなければ売れないのです。

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