足るを知る | シンプルライフ

生活

老子の言葉①

人を知る者は智、自ら知る者は明なり。
人に勝つ者は力あり、自ら勝つ者は強し。
足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志あり。
その所を失わざる者は久し。死して亡びざる者は寿(いのちなが)し。

(解釈)
他人を理解できる人は知恵があります。自分を知る人はさらに聡明です。
他人に勝つ人は力が有り、自分に勝てる人は強いといえます。
満足を知る人は心が豊かであり、努力をする人は志が有ります。
道の本質を見失わない人は長く安泰であり、死んでも道の精神を失わない人が真の長寿なのです。

老子の言葉②

名と身とはいずれか親しき。
身と貨とはいずれか多なる。
得と亡とはいずれか病なる。
この故に甚だ愛すれば必ず大いに費(つい)え、
多く蔵すれば必ず厚く亡(うしな)う。
足るを知れば辱しめられず、
止まるを知れば殆(あやう)からず、もって長久なるべし。

(解釈)
名声と命、どちらが身近でしょうか。
命と財産、どちらが重要でしょうか。
得ることと失うことではどちらが有害でしょうか。
名声や財産を求め過ぎれば、逆に多くが出ていくことになり、
多くを持ちすぎると必ず大きな損失を被る事になります。
足るを知れば、辱めにあうこともなく、
止まることを知れば、危機にさらされることもなく、安泰なのです。

老子の言葉③

天下に道あれば、走馬を却けてもって糞(つちか)い、
天下に道なければ、戎馬(じゅうば)、郊に生ず。
罪は可欲より大なるはなく、
禍は足るを知らざるより大なるはなく、
咎は得んと欲するより大なるはなし。
故に足るを知るの足るは常に足るなり。

(解釈)
天下が道に従い治められていれば、馬は土地を耕すのに使うことができます。
天下が道に従っていなければ、軍馬として郊外で子を産むことになります。
罪は止まることを知らない欲望より大きいものはなく、
災は足るを知らないより大きいものはなく、
過ちは何かを手に入れようと欲することより大きいことはありません。
よって、足るを知ることをわきまえていればいつも満足できます。

老子の「足るを知る」

老子の言葉をご紹介しました。
地位や名声や財産について人間の欲は無限です。
そこそこで満足すること「足るを知ること」により心は満たされ、限りなき欲望は災いをもたらします。

「足るを知る」とは、身分相応に満足することを知る事です。
人の欲望は際限がなく、何かを得ても「もっともっと」という気持ちが芽生えてしまいます。
金持ちになっても満足できない人はできない人は「もっと欲しい」といつまでも満たされません。
「足りない」に意識を向けるのではなく、「足りてるもの」に意識を向ける必要があります。

私たちは、自分が持っていないものを欲しがり、自分以外の誰かに憧れてしまいます。
「アレが欲しい」「ああなりたい」と、どこまでも欲望は尽きません。
あふれるモノと情報は、常に私たちの欲望を刺激します。
まわりを見ると自分には足りないものばかりです。
常に欠乏感を意識しながら生きているのです。
そして「もっともっと」「まだ足りない」と苦しみます。
多くの苦しみはそうした「足らぬ」ものに注目し、必要以上に欲しがる心が原因だと老子は言っています。

自分が持っていないものを欲しがり、自分以外の何者かになろうとすると、人は苦しみ続けます。
自分がすでに持っているもので満足し、「足りている」ことに感謝して生きることが賢い生き方です。

過剰な社会

アメリカの家庭当たりのテレビの平均保有台数は3台だそうです。
同時に複数の番組を見るわけでもありませんが、複数台保有しているのです。
昔、一家に一台だった電話も、今では子供も含めて一人一台持っており、中には一人で複数台所有している方もいらっしゃいます。
物が溢れ、情報が溢れ、すべてが過剰です。
人々は過剰な栄養を摂取し、肥満による健康被害に悩みます。
道路では車が過剰になり交通渋滞を起こします。
都市では人が密集し、大量の人が一度に移動するため、通勤ラッシュが起こります。
家庭から大量なゴミが排出され、工場や家庭からの汚水が排出され、河川や海が汚染されます。
そして人々は大量に物を購入し続け、家の中は、捨てられない物で溢れかえっています。
これらは、全て人間の限りない欲望によるものです。

「選択の自由」の落とし穴

大きな買物をする時に、どちらを買おうか迷ってしまいます。
そして、選んだ後で、後悔してしまいます。
選択肢があることで、逆にどうすれば欲求が満たされるかわからなってしまいます。
そしてもうひとつを買えば、満足できるかもしれないと思い、買ってしまいます。
そのような繰り返しで、家の中が物で溢れてきます。
物が溢れれば溢れるほど、身動きが取れなくなります。
ものを溜め込むと、物によって時間と空間が消費されます。
物質的豊かさに比例して、生活が窮屈になり、精神的な余裕が無くなります。

シンプルライフ

物が増えると、物によって時間と空間が消費されます。
物を持ちすぎると、心がざわざわして、なんだかすっきりしません。
「いつか使うかもしれない」といつまでも捨てられない物を、思い切って断捨離することで、心が軽くなります。

過去の思い出やしがらみよりも、今を快適に生きる事の方が大切です。
心地よく過ごすためには、ごちゃごちゃしているよりもシンプルであるべきです。
物がごちゃごちゃとしていたり、心の中にゴミが散らかっていては、快適に過ごせません。
洋服もインテリアも、「本当に気に入ったもの」を少しだけ残して、
自分サイズに合わせてシンプルに生活することにより、心が軽くなります。
大切なのは心地よいシンプルさです。

スティーブ・ジョブズの晩年のファッションは、
「NewBalance991のスニーカー」
「リーバイス501のデニム」
「イッセイミヤケの濃紺のタートルネック」で統一されていました。

いわゆるノームコアスタイルです。
個性を主張しないシンプルなスタイルというか「究極の普通」はかえって潔さを感じます。
余計なモノをそぎ落として、必要なモノだけに集中して生きていくことはかえって美しいと思います。
ですから、iPhoneやiPadやMacのデザインは、シンプルで美しく、かつ直感的にわかりやすく、使いやすいのだと思います。
かつて日本には、日本庭園や華道や茶道などシンプルな美的感覚があったと思います。
現代では、日本人はシンプルに美しく生きる感覚を失っていると思います。
私達は、足るを知り、日々感謝してシンプルに生きる事を心がける必要があると思います。

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