合意のない期待 | 期待は裏切られる

メンタルヘルス

合意のない期待

人の怒りや悲しみの9割は、「合意のない期待」から生まれます。
明確な合意をしていないけど「暗黙の了解」として期待をしていると、期待通りにいかない時に、「怒り」や「悲しみ」が生まれます。
「空気を読んでよ」「常識で考えて」「言ってないけど分かるだろう」などは全て「合意のない期待」です。
「合意のない期待」に応えられる人は、「あいつは気が利く」と評価されます。
例えば、秀吉が信長の草履を温めたように、言わなくても勝手に期待に応えてくれる事を日本人は喜びます。
確かに「一を聞いて十を知る」人は、能力を高く評価されます。しかし、それが当たり前だと思っていると「合意のない期待」に応えられない人に対して「怒り」や「悲しみ」の感情が強く生じてしまいます。
上司が部下へ「言わなくてもわかるだろ」、部下から上司へ「どうせ言っても無駄」は典型例です。
大切なことはちゃんとコミュニケーションを取り、具体的に合意しておくことです。
「どうせ」という気持ちは、過去の経験による学習性無力感が背景にあると思われます。
しかしながら、コミュニケーションを取らなければ伝わらないし、一回で伝わらなければ、何回も言い方を変えて伝えていかなければ何も変わりません。
会社の上司部下以外にも、顧客との関係や、友人関係、夫婦関係、親子関係においても、「合意のない期待」から、「怒り」や「トラブル」は頻繁に発生します。

価値観の押しつけ

「普通は、xxだよね」とか「普通は、xxするよね」とか言う人がいますが「普通」って何でしょう。
「普通」と同じように使われるのが「常識」です。
「普通」や「常識」を頻繁に言う人は、当たり前を決め付けるタイプではないかと思います。
自分が考える理想像やあるべき姿を人に押し付けて、決め付けてしまうタイプです。
ですから、自分が正しく、異なる意見言う人がいれば受け入れることができないやっかいなタイプです。
「普通わかるよね」と考えている人にとっては、「合意のない期待」は「言わなくてもわかるはず」「期待したとおりにやって当然でしょう」と思っています。もし自分の思い通りの結果が出なかった場合、イライラの原因が、相手あると考えます。
自分と相手は異なる人間であり、異なる思考をして、異なる価値観を持っています。
まずは、「自分と相手は異なる人間である」ということに気づかないといけません。
そして、「絶対的な普通はない」ということを理解する必要があります。
例えば、日本の中では常識でも海外では非常識な事は沢山あります。
絶対的な普通、絶対的な常識など、あり得ないのです。
人の数だけ異なる価値観があり「合意のない期待」は期待通りにいかない事が多い事も理解しましょう。

常識や価値観は時代と共に変わる
常識には大きく以下の2つが存在します

  • 大多数を占めること(科学、法則、集団、流行など)
  • 昔からあること(伝統、慣習、マナーなど)

一般的に「常識的=良いことである」という認識を持っている人は多いと思います。
社会的には「常識に従う = 秩序を守る」であり、常識を守ることにより社会的な安心が得られます。
よって常識を持った行動を他者に期待したくなりますが、常識は時代によって変化します。
以下は昭和の常識でした。

  • 電車のトイレは線路上に垂れ流し
  • 給料が手渡し
  • テレビが映らない時は叩くと直る
  • 電車内でタバコが吸えた
  • 飛行機でタバコが吸えた
  • 部活中などに水を飲んではいけない
  • 学校で先生にゲンコツやビンタされても問題にならなかった
  • バイクはヘルメットナシでもOKだった
  • 車の運転はシートベルトなしでもOKだった
  • 公衆電話が至る所にあった
  • 1ドルは360円

いかがですか?今では信じられない常識ばかりです。
90年代になるまでは、インターネットもなく、情報がテレビや新聞、雑誌などの限られた媒体からしか得ることはできませんでした。
情報の多様性がなく、それほど合意がなくても、社会全体が同じ事を考えている時代だった気がします。
しかし、90年代以降は、インターネットが発達し、それぞれの人が、ネットを介して色々な情報を取得するようになり、価値観の多様化が進んだと思います。
よって現代は多様化の社会で有り、絶対的な「普通」が存在しなくなったと思います。
そのような多様化の時代で「空気を読め」「常識で考えろ」と言ってもなかなか伝わりにくくなっています。
「合意のない期待」は昔と比べると、裏切られる可能性が高くなっていると思います。

合意のある期待を得る

「合意のない期待」は期待を裏切られる可能性があるのならば、あらかじめ合意を得られる形にすれば良いのです。
その為には、曖昧な「解釈を含む表現」をしないということです。
具体的な「成果指数」を示し、解釈による認識の違いを防ぎます。
成果指数では、その行動(タスク)により得たいものは何か、具体的な数字や内容や期限で示します。
場の雰囲気を壊さないように柔らかい表現を使う人もいるかと思いますが、曖昧な表現では上手く伝わらない場合もあります。
チームは、同じ目標に向かって効率よく成果を出すべきで有り、良い雰囲気作りのつもりが「なあなあ」なチームになっては意味がありません。
時には、ぶつかり合う議論も必要です。
ぶつかって、徹底的に議論して、お互いに納得し合意を形成することが必要です。
柔らかく言ったつもりが、曖昧な表現となり、結果「合意のない期待」が裏切られ、イライラしても意味がありません。
相手が明確に認識できるよう、ちゃんとコミュニケーションを取って、合意形成し、確実に期待する目標を達成するよう進めていく必要があります。
それと、部下は理解しているようで意外と理解していないことがあります。
そこで「2割報告」をさせてみてください。
「2割報告」とは、大まかな仕事のアウトラインが決まった段階で一度報告してもらい確認を取るというものです。
もし、部下が勘違いしていた場合、早期に発見して軌道修正することができます。
部下は、報告が面倒くさいので全て終わってから報告すれば良いと思う者が多いと思います。
そこで上司の方から、「途中まででいいから見せて」と言えば、大きなミスは予防できます。
これさえやっていれば、余程のことがない限り、大きく期待は外れることはないでしょう。

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