「思い通りにならない」のは普通
人生は思い通りにならないことだらけです。
計画通りに物事が進まなかったり、やりたい事が満足にできなかったり、周囲と考えがぶつかったり、不幸な事が起きたり、人から干渉されたり、誹謗中傷されたり、上手くいかないなと感じる事が多くあります。
上手くいかないと、落ち込んだり、イライラしたり、怒ったりと精神が乱されてしまいます。
仏教の言葉で「一切皆苦（いっさいかいく）」という言葉があります。
そのまま意味を想像すると、「すべては苦しみだらけ」と解釈してしまいますが、本当の意味は「世の中は、思いどおりではないことばかりである」です。
そもそも私たちは、生まれること・老いること・病になること・死ぬことなど思い通りにならない事が多くあります。
裕福な家庭に生まれるのか、貧乏な家庭に生まれるのかは自分では選べません。
生まれてくると年を取り、病にかかり、いつかは死んでしまう事も自分自身では抗う事ができず、思い通りにはなりません。
四苦八苦の四苦とは生苦・老苦・病苦・死苦の事です。人は生まれた瞬間から生老病死において、思い通りにはならないのです。
未来を100%予想すること、コントロールする事はできません。
全てが想定内である事はありえないのです。
全てが思い通りになってしまうという事は、「ストーリーが全て分かっている映画を何回も観るようなもの」です。
全てが思い通りになってしまう人生は、見飽きた映画の様につまらないのです。
テレビゲームをする時に、簡単にクリアできるゲームはつまらないと思います。
なかなかクリアできないステージをクリアできた時に、歓びを感じます。
人生もゲームと同じで、「思い通りにならない」事を乗り越えられると、歓びがあります。
人生において「思い通りにならない」事があるのは普通です。
四苦八苦の八苦とは、「愛別離苦(あいべつりく)」「怨憎会苦(おんぞうえく)」「求不得苦(ぐふとっく)」「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」です。
愛別離苦とは、「愛する人・モノとはいつかは別れなければならないという苦しみ」です。
怨憎会苦は「恨みや憎しみを抱いてしまう人と出会ってしまう苦しみ」です。
求不得苦は「求めたものが得られないことの苦しみ」です。
五蘊盛苦は「私たちの心や体は苦しみ、心身を思うようにコントロールできない苦しみ」です。
生きていれば、「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五蘊盛苦」などの思い通りにいかない事にも遭遇します。
我々は諸行無常と諸法無我の世界で生きているので、思い通りにならないことは避けられません。
「思い通りにならない」事が起きても、それが人生です。
ゲーム感覚で克服することに歓びを感じられるか、挫折してしまうのかも人それぞれです。
悩みは尽きない
例えば、経済的に成功してそこそこのお金を稼ぐことができたとしても、さらなる富を得たいと考えたり、万が一、失業して今の生活レベルが維持できなくなるのではないかと心配して心が休まらなかったりします。
ガンに罹り、幸運なことに治療して治ったとしても、再発するのではないかと心配します。
若いころは美人でも老いていくに従って、肌のたるみやシミが現れ、嫌な思いをしている人もいるでしょう。
例えお金持ちになっても、社会的に成功しても、人の欲や心配事は尽きないものです。
すべてのものは常に変化し、永遠であるものは存在しません。
現在、金持ちでも、未来永劫金持ちであり続けるかはわかりません。
現在、健康でも、いつかは病気を患い、いつか死を迎えます。
諸行無常。すべてのものは常に変化し、永遠であるものは存在しないのです。
また、自分の思い通りにしたいと思っていても自分ではコントロールできない事態が発生したり、他者が自分の思い通りに動いてくれなかったり、自分のプライベートまで他者に干渉されたりして、思い通りにならなかったりします。
すべてのもの事(諸法)は、互いに影響をし合い、何一つとして単体で存在しません(無我)。
私たちは他の人や物事が存在しないと存在が成り立たず、他者は自分の思い通りにならないのが常です。
諸法無我。すべてのもの事(諸法)は、互いに影響をし合い、何一つとして単体で存在しないのです(無我)。
諸行無常と諸法無我の世界で生きていれば、思い通りにならないことで苦しむことは絶対に避けられず、人々の悩みは尽きないのだと思います。
この世のものは変わっていき、永遠に同じものはないし、一つだけで単体で存在しているものは存在しない。
だからこそ、そもそも思い通りになるはずがなく、悩みは尽きないのです。
思い通りにならない事を楽しむ
思い通りにならない事は当たり前ならば、いっそ「思い通りにならない事は当たり前」と割り切って楽しんでしまえばよいのだと思います。「こんなはずではなかった」と思い通りにならなかった事に固執しても先に進めません。
「So be it！」（そんなもんだ！）と割り切ってしまえば、前に進めます。
そもそも、全てが思い通りになるならば、そんな人生つまらないです。
上手くいかないことも、成長の為の良い刺激だと思えばよいのです。人間は刺激がある方が生き生きできます。
上手くいかないことも、成長のチャンスです。
上手くいかないことから新たな考え方、価値観を吸収することができ、精神的に大きく成長する事ができます。
人生は自分の思い通りにならない事ばかりですが、絶望や挫折をしても、それを乗り越えると、達成感といった嬉しいご褒美を得る事ができます。
晴れの日ばかりだと干ばつになってしまいます。時には雨も降らなければ作物は育ちません。
人生に苦難が多くあり、それは「魂」の成長のための「修行の場」とも言えます。
「思い通りにならない時」こそが、その人の魂に学びを与えてくれ、成長させくれます。
死んであの世に行く時に、お金や不動産や物質的なものは一切持っていけません。
魂があの世に唯一持って行けるものは、現世で味わった「経験」や「感動」などの精神的なモノだけです。
魂は、この世で修業し浄化され、昇華してあの世に戻っていくのだと思います。
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