人によって見えている世界は異なる

人によって見えている世界は異なる
脳によって重要な情報
脳で創造する世界が自分の身の回りに広がっていく
スコトーマ（心理的盲点）
スコトーマにがんじがらめになると
スコトーマを外すには

私たちが見えている世界は、実は、見ている人によって見えているものが全く異なります。
全く同じ景色を見ていたとしても、人によって見えているものは全く違うのです。
例えは、人工知能で動くロボットを見たとき、ある人は「先進的で素晴らしい」と思い、ある人は「恐ろしい」と思い、ある人は「便利な社会になってきた」と思い、ある人は「自分の仕事が奪われる」と思います。
人によって、全く異なる見方や感じ方をしてしまうのです。
例えは、痴呆が始まった老人がいたときに、介護する人は「これから大変だ」と思うかもしれませんが、老人からすると「人格を尊重してもらえなくなる」と思うかもしれません。
人は、その人がおかれた環境や、過去の経験や、その人の信念や先入観・固定観念によって、全く異なる考え方や見方をしたりします。

人は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚などの五感で受け取った情報を脳が認識していますが、全ての情報を処理するとオーバーヒートしてしまい壊れてしまいます。
そこで、自分が大事だとおもっている情報を、RASと呼ばれる脳内のフィルダーで選別し、一部の情報だけ脳に届けています。
例えは、パーティーの中でたくさんの人がそれぞれ雑談をしている中でも、自分が意識を向けている人の会話や自分の名前は自然と聞き取ることができます。これは、多くの情報の中から、自分が重要とする情報だけをフィルターして脳で認識できているため、可能になっているのです。この現象をカクテルパーティー効果と呼びます。
つまり、脳は、自分が重要だと認識した事だけに意識を集中して処理するため一部の情報だけを取り込んでおり、人によって重要だと思うことが異なると見えてくる世界は異なって来るのです。
例えは、渋谷センター街で人混みを見たときに、ファンション系の職業の方と自動車販売員では見える景色が異なります。ファンション系の職業の方は、人々のファッションに意識が集中しますが、自動車販売員は止まっている車に意識が向かいます。つまり、その人が何を重要にするかによって見えている景色は全く異なってしまうのです。

脳によって重要な情報

脳によって重要な情報は人によって異なると言いましたが、それには色々な要素が関係していると考えられます。

過去の経験から来る固定観念
教育や学習で得られた知識
これまで生きてきた中で培われてきた信念や先入観
自分が興味、関心、必要性を感じているもの
自分のアイデンティティ
現在の生活環境・経済環境
家族や友人や社会などの人間関係

など、色々な要素が重なり、その人にとっての重要な事は決まってきます。
人それぞれ重要だと思うことが異なると、脳内のフィルターで情報はひとそれぞれ異なる制限がされ、それぞれの脳で処理・認識される情報は異なることになります。

脳で創造する世界が自分の身の回りに広がっていく

私たちは、自分が重要だと思う情報をフィルターして脳に取り込み、フィルターされた情報により判断し行動しているため、私たちの「信念」「思い込み」「固定観念」「興味」「関心」「知識」などによって、重要だと考えるものに意識が傾向付けされ、脳内のリアリティが形づくられ、思っている通りの未来に自分に引き寄せていきます。リアリティとは、脳内におけるその人にとっての真実と信じていることで、自分自身があるべきと思う姿と、そこから見える世界のことです。
自分は幸福だと考えていると、幸福に感じられるものに引き寄せられ、幸福感を感じるものが目の前にたくさん現れます。そして不幸な出来事があったとしても、それは重要でないことですからRASによってフィルターされ見えにくくなってしまいます。
逆に、自分は不幸だと考えていると不幸に感じられるものに引き寄せられ、不幸を感じるものが目の前にたくさん現れます。

スコトーマ（心理的盲点）

スコトーマとは、RASによって重要と認識されなかった、見えなくなっている「心理的盲点」です。
スコトーマが生まれる要因には以下の２つがあります

知識がない（から見えない）
自分にとって重要ではない（から見えない）

脳は知識が無い事は理解できません。よって知識がない事はRASによって自動的にフィルターされてしまいます。
私達は、重要と認識することしか見ることができないのです。
重要なことと心理的盲点は、表裏一体のような関係にあります。
ある物事に執着し過ぎると、その概念の重要度が上がり過ぎてしまい、その周囲が見えなくなってしまいます。
思い込みが強すぎると、廻りが見えなくなってしまうのは、光が強ければ強いほど、周りの影は濃く見えにくくなると似ています。

スコトーマにがんじがらめになると

スコトーマにがんじがらめになっていると、日常の生活が柔軟でなくなったり、義務感にかられて行動に制限がかかったり、不毛な争いを永遠に続けることになります。
視点や観点を変えたり、柔軟に物事をとらえる事で、世界は広がり、選択肢を増やすことができます。
スコトーマがあると、見たいものだけを見させ、聞きたいものだけを聞かせ、考えたいことだけを考えさせ、行動を制限し、視野を狭くします。
一つの意見・信念・態度に縛られると、それ以外の情報を一切遮断してしまいます。
スコトーマは変化や柔軟な思考や創造性を阻害します。
気付いないかもしれませんが誰もが心理的盲点を持っています。
スコトーマを理解すると、より多くの選択肢と機会が見えるようになります。