学習性無気力とは
学習性無気力とは、長期にわたって回避困難なストレスにさらされると、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象です。
例えば、拉致監禁の被害者は、長期にわたって監禁されることで、すこしばかりの努力をすれば、その状況から抜け出せる可能性があったとしても、そういった事すら考えられなくなります。
例えば、家庭内虐待の被害者は、長年虐待を受けた事により、どんな可能性さえも「無駄な努力」と決めつけて、自発的行動をしなくなります。
セリグマンは次のような実験をしました。
電気ショックの流れる部屋に2匹の犬を入れ、1匹にはスイッチを押すと電流が止まる仕掛けを施し、もう1匹は何をしても電流が止まらない環境にしました。
この結果、仕掛けがある方の犬はスイッチを押すと電流が止まるということを学習し、スイッチを積極的に押すようになましたが、仕掛けのない犬は最終的に何の抵抗もしないようになりました。
次に、2匹の犬をしきりを飛び越えるだけで電流から逃れられる部屋に移したところ、前者の犬は早々にしきりを飛び越えたのに対して、後者の犬は何の行動も起こしませんでした。
このように、自分が何をやっても結果が変わらない事を学習することで、どんな状況に対しても行動を起こさなくなってしまうことを「学習性無力感」と言います。
学習性無力感は、「何をやってもムダ」「自分は何をやっても上手く行かない」と無力感に支配され、自分の可能性を否定し、自分の行動を止めてしまいます。「どうせ私なんか」が口癖の自己肯定感の低い人は、学習性無力感に心が支配されている可能性があります。
希望を失って絶望すると
「学習性無力感」により希望を失って絶望すると、力を失ってしまいます。
学習性無力感は、やる気を奪い、新しいことを学ぶ力を奪い、希望を奪います
学習性無力感に陥って、動けなくなる人もいます。うつ状態になる人もいます。絶望のあまり、死んでしまう人もいます。
同じストレスを受けていても、努力すればきっと何とかなると信じることができれば、心は折れません。
失敗を悔いて、自分を責め、自分はダメな人間なのだと思い込んでしまうと、学習性無力感に陥ってしまいます。
学習性無気力にならない為には
部下を指導するときに何度も頭ごなしに否定していると「学習性無力感」に陥ってしまう場合があります。
また、失敗する事が常態化していると、どうせ失敗すると初めから諦め「学習性無力感」に陥ってしまう場合があります。
学習性無力感に陥らないためには、自分の行動が良い結果につながるのだという意識を持つことが必要です。
小さな成功体験を積んだり、解決の糸口が少しでも見えるならば、それはモチベーションに繋がります。
目標がいきなり大きすぎると、最初からくじけてしまいます。目標を小さく分解し一つ一つは達成可能な目標にして、一つ一つ小さな成功体験を積み重ね、最終的に大きな目標を達成するようにします。
なかなか上手くいかない場合は、上手くいかない原因を細かく分解して分析し、分解した原因の一つ一つ着実に克服することで、最終的に大きな目標を達成できるようになります。
目標や課題を細かく分解することで、一つ一つはハードルが下がります。そして小さな成功体験を積み重ねると自信に繋がります。小さな成功体験から自己肯定を繰り返すことで学習性無気力を回避できます。
ポイントは最初から完璧主義にならないこと、細かく分解して、一つ一つのハードルが下げる事、小さな成功体験を積み重ねる事です。
負け癖が付いていると思ったら
負け癖が付いていると思ったら学習性無気力に陥っている可能性があります。
「どうせ失敗する」といった、悪い思考の癖が付いている可能性があります。
悪い癖を直すために、小さな成功体験を積み重ね自己肯定を繰り返す必要があります。
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