思考停止症候群 | 「なぜ?」「本当に正しいの?」と疑問に思わないのは思考停止です

働き方

組織に所属して改めて思ったこと

7年前に、約15年続けた個人会社をたたみ、会社員に復帰しました。
会社員といっても、役員としてのヘッドハンティングで、久しぶりに組織に属することになったわけです。
個人での活動と組織人としての活動では、「しがらみ」や「人間関係」といったところが全く異なります。
主従関係はあるし、組織の規則には従わなければならないし、個人でやっていた時と比べると、精神的にも、時間的にも、行動範囲としても自由度が全く異なります。
サラリーマンの出世は9割が「ごますり」と言う人もいますが、組織内では嫉妬・妬み・僻み・誹謗中傷は予想以上に多く、無駄な所で多くのエネルギーが消費されていると思うと「残念な気持ち」が大きく膨らみました。

「この人たちは出世することが目的で生きていて楽しいんだろうか?」「給料が増えればそれで楽しいんだろうか?」といったエッセンシャルな疑問がそこにはありました。

そして、一番衝撃だったことは、色々な場面で「何も考えていないのでは?」「思考停止になっているのでは?」と思う事があまりにも多すぎたことです。

例えば、問題が発生した時に「何故、そういったやり方を続けているのですか?」と質問すると、「今までそうしてきたからです」と回答が帰ってきたりします。そして「今までのやり方が本当に正しいのか疑問に思ったことは無かったのですか?」と聞くと無言です。自分たちのコンフォートゾーン(快適で居心地のいい状態)を乱されたくないといった迷惑そうな表情をします。現状維持が快適で、「疑問に思うこと」「思考する」を放棄している、つまり思考停止状態になっています。

そして、組織内での嫉妬・妬みは多いけど、「ちゃんと勉強していないのでは?」「成長の為の努力していないのでは?」と感じる場面が沢山ありました。個人で活動している場合には、評価はダイレクトに帰ってきます。ですから自分の身を守るために実力を付けるのは当然な事です。でも組織に守られている人の中には危機感の薄い人もいるようです。

ある時、親会社でPMPの資格保有者を増やすといった計画があるので、弊社でも社員の能力向上の為に会社で教育費を全額補助して促進していこうという話になりました。
ある社員は、ちゃんと勉強して資格を取得しましたが、ある社員は通信教育の講座自体を全く受講していませんでした。確かに、会社に何を勉強するかを強制されるのは、なんか違うと思いますが、嫌なら、初めから辞退して無駄なコストを使わないようにすべきです。またその社員が他の勉強をしているかというとそうでもないのです。
そして極めつけは、PMP資格はプロジェクトマネジメントの資格なのですが、勉強もしていないのに、プロジェクトマネジャに立候補してプロジェクトで大失敗をしてしまいます。本当に馬鹿だと思うし、勉強しないならばプロジェクトマネジャに立候補されても迷惑です。

思考停止になっていないか

「これまでずっとこうしてきたから」「先輩に言われたから」「上司に命令されたから」は全て思考停止です。
前例主義(過去のやり方をそのまま引き継ぐ)だと、それが本当に正しいのか自分の頭で考えていません。
「もっと良い方法があるかもしれない」「さらに改善の余地がある」と考えなければ成長はありません。

常に「このままで本当に良いのか?」と疑問に思う事が必要です。
人から言われた事を鵜呑みにするのではなく、必ず「なぜ」と自ら疑問に感じる習慣が必要です。

また、物事を行っていると、「手段」が「目的」にすり替わってしまう事があります。
例えば、「教室ではコートやマフラーを着てはならない」という校則があり、コロナ騒ぎで真冬でも換気の為、窓を全開にしなければならないという、教育委員会からの通達があり、生徒は真冬の窓全開の教室で「教室ではコートやマフラーを着てはならない」という校則を守らされるといった事態が発生しました。
「病気にならないように」といった目的で窓を全開にして、生徒たちは「教室ではコートやマフラーを着てはならない」という校則の為、寒さの為、生徒が体調を壊してしまうならば、本末転倒です。
「目的な何か」「ゴールは何か」を理解していないと、方向性を誤ります。
「窓を開けて換気すること」は手段です。「校則を守る事」は手段です。本来の目的は「子供たちを正しく守る事」です。
「手段」が「目的」にすり替わらない様、我々は「何のためにやるのか」その「目的」を常に自問自答する必要があります。
現状に問題意識がない人は間違いを犯し続けます。
何も疑問を感じない人は、進歩しません。
目的を理解しない人は方向性を間違います。

スクールオブフィッシュ

スクールオブフィッシュとは、魚の群れを意味します。めだかの学校ではありません。
例えば鰯(イワシ)は、捕食者(マグロなどの大型の魚)から身を守るために、大きな群れを形成します。

群れを形成することにより、単独で行動するより一匹一匹が狙われづらくなります。
つまり鰯は、群れから出ないことが最も安全なのです。
しかし、統制が取れているようで鰯の群れにはリーダーはいません。
鰯は鰯同士でぶつかることなく、まるで群れが一つの意思を持つかのごとく統制的に動いています。
それは鰯の胴体側面についている「側線」という器官によって、水流や水圧を微妙に感じ取り他の魚の動きに同調してあたかも統制が取れたように泳いでいるのです。個々の魚がそれぞれ独立して統制の取れた動きをしています。

皆さんは会社の組織の中でどのように泳いでいますか?
強いリーダーが明確なメッセージを発声して、社員は思考停止のままそれに従っているという事はありませんか?
会社(群)に所属することで自分の立場が守られていると安心し、自立して自分の頭で何も考えていなければ、ある日、突然リストラされた時、路頭に迷う事になります。
鰯は群れても自分の意思で泳いでいます。皆さんも自分の意思で泳いでいますか?

自分が「当たり前」と思っている事を疑ってみる。

私たちは、大なり小なり何らかの「認知の歪み」を持っています。
「認知の歪み」とは、何気なく頭に浮かぶ考えやイメージ(自動思考)が真実とは少し異なる傾向の事を言います。
認知の歪みには以下のようなものがあります。

  • 全か無かの思考:物事の全てを白か黒かで認識する(例:善人と悪人)
  • 行き過ぎた一般化:経験や根拠が不十分なまま早まった一般化を下すこと
  •  (例:一人の外国人の犯罪事件があった→外国人はみんな悪人だと思う)
  • 心のフィルター:物事全体のうち、悪い部分のほうへ目が行ってしまい、良い部分が除外されてしまうこと
  •  (例:ある人があるたまたまプロジェクトで失敗した場合→彼は全ての能力が低いと決めつける)
  • マイナス思考:物事を悪い方向に考える傾向
  • 論理の飛躍:先を読みすぎ、事実ではないネガティブな可能性へ飛躍する事
  • 拡大解釈、過小解釈:事実より過大に受け取ったり、過小に考える事
  • 感情の理由づけ:自身の感情のみを根拠として、自分の考えが正しいと結論を下すこと
  • ~すべき思考:直面している状況に関係なく「~すべきである」と考える事
  • レッテル貼り:ある事象から強力なレッテルを貼り評価する
  •  (例:単に「失敗した」ではなく、「全くダメ人間だ」とレッテルを貼る)
  • 誤った自己責任化:自分に起きたことの責任は他者にあると考えること

皆さんにも身の覚えありませんか?残念ながら私はたくさん思い当たるところがあります。
ですから自分にはある程度の「認知の歪み」があると認識して、今の考えや感覚って偏っていないかと、必ず自問自答するようにしています。自分はまったく「認知の歪み」は無いと思っている人は、かえって危ないのかもしれません。

自分の頭で考える

何も考えないで生きている人は、何度も同じ過ちを繰り返します。
例えば、学校に行く途中の道で犬の糞を踏んでしまったら、帰りはそこを避けて同じ糞を踏んでしまわないようにしなければ残念ですよね。そして翌日は、歩く道で糞が落ちていないか確認しながら登校しなければ、残念な事が繰り返されます。
何も考えないで生きているという事は、何度も犬の糞を踏んで残念な思いをするのと同じような人生だと思います。
そして他人の考えに従って、自分の考えを持たずに生きている人は、幸せになるのも、不幸になるのも他人まかせで、人生の選択権のない奴隷のような人生だと思います。
自分の人生は自分のものです。他人に支配されるのは不幸なことです。
自分の頭で考えて、自分の思うように生きていきたいものです。

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