時には諦める事も大切 |「諦める」とは、真理をあきらかにみる事

人生

「諦める」とは

諦めるという言葉は、「途中で断念する」「悪い状況をしょうがないと受け入れる」など、あまりいいイメージが無いかもしれません。いわゆる根性なしといった印象があります。
しかしながら、仏教でいう「諦める」は、諦観(たいかん)、つまり真理をあきらかにみる事を意味します。
真理をあきらかにみるとは、以下の事です。

  • 状況を正確に客観的に把握する
  • 悪い状況であっても、言い訳したりごまかしたりせず受け入れる
  • ちゃんと原因を分析する(なぜそうなったのか、何が悪かったのか)
  • 適切な対策を考える。時には撤退する勇気も必要
  • 決断した事(対策・撤退)を実行する

ここで大切なのは、「真理をあきらかにみる」とは実行までを含みます。
物事には、必ず因果があります。まかぬ種は生えません。必ず原因があるはずです。大宇宙の真理である因果の道理をあきらかにみる事が重要です。

撤退する勇気

エベレストに登るためには、2~3年かけて以下の準備が必要です。

  • 登山の為の体力を付けたり、高山に順応する為に厳しいトレーニングをする
  • 費用は500~1000万円
  • 登頂計画や入念な調査
  • 現地スタッフの調整
  • ネパールの首都カトマンズからベースキャンプまで150kmの山歩き
  • ネパール政府の許可

しかしながら、長い時間をかけて、大金をつぎ込んで準備をしても、登頂できるかどうかは運しだいだそうです。
「あと少しで登頂できる」と思い、つい無理をしてしまい命を落としてしまう登山家が多くいます。
人生においても、事業においても、他者が「努力しろ」「我慢しと」「根性出せ」というのは簡単ですが、時には、続けることで取り返しが付かない事態を招く場合があります。

人生にも、経営にも大きな決断をしなければならない時があります。
例えば、大赤字の投資事業を無理して継続して、会社が倒産する事だってあります。
進む判断より退く方判断の方が難しいのです。
撤退の決断が早いほどダメージは小さくなります。タイミングを逸したら、あとは泥沼となってしまいます。
真理をあきらかにみて、明らかに継続しない方が良いと判断したら、撤退する勇気も必要です。

「やりたい事」と「適している事」

夢を追いかけて努力する人は多いと思います。
確かに、私も「夢を追いかける事」は素晴らしい事だと思います。
しかしながら「諦めず夢を追いかけても夢が叶わないこともある」と思います。
例えば、オリンピックで特定の種目で金メダルを取れるのは4年に1人だけです。
多くの競技者が夢を見て、挑戦しますが、みんなが夢をかなえられる訳ではありません。
残酷な言い方かもしれませんが、自分が「やりたい」と思っていても、明らかに素質が無い事だってあります。

「やりたい事」と「適している事」は異なります。
「負け戦」の為に努力し続けるよりも「勝ち戦」の為に努力し続ける方が効率的です。
「適している事」「得な事」の中から「やりたい事」を見つけた方が、勝率が上がります。
人生においては、自分が勝ちやすいところを見極めるのも必要だと思います。

「自分に適していて、やりたい事」を探し続ける

「自分に適していて、やりたい事」をはじめから見つけている人は少ないのではないかと思います。
私の場合は、高校生くらいの時には何となく「音楽家」「エンジニア」になりたいといった希望がありました。
ただし、前者は客観的に自分にはそこまでは才能が無いと理解できていたので、すぐに諦めがつきました。
「エンジニア」は何となくなりたい思っていただけなので、具体的にどのようなエンジニアかまではわかっていなかったと思います。
そして、社会人になって「ハードウエア技術者」→「制御系のプログラマ」→「情報系のシステムエンジニア」→「基幹系のシステムエンジニア」→「システムコンサルタント」と自分の職種を少しずつ変化させてきたわけです。

私の場合は、自分に何が適しているのかは実際にやってみなければわかりませんでした。
でも、はじめから成功するかどうかわからないのと同じように、ほとんどの人は実際にはやってみなければわからないのではないでしょうか。私の場合は、はじめは、「文系」よりも「理数系」の方が向いているかもしれないと思い、なんとなく「コンピューター」に興味があると思い、ハードウエア技術者をやってみたけれど、CADで電子回路なんて簡単に設計できるようになるならば、ハードウエア技術者の需要は少なくなりそうだから、ソフトウエア技術者に転向して、プログラマは次から次に新しいプログラム言語が出てきて、毎回覚えなおすのは大変だなと思い、単なるプログラマから、本質的な知識がそれほど大きく変化しない、設計者やコンサルタントに軸を移してきたのが、現在の私です。

時には、自分に適していないことにはたびたびチャレンジしていました。
会計系のシステムコンサルをやっているときに、会計系の知識は一通り勉強して身に着けていたのですが、つい欲が出て、1年間仕事を休んで、税理士の資格に挑んだことがあります。税理士の勉強は、財務諸表論は理論・考え方を理解し、簿記論は計算や会計の手続等を勉強しなければなりません。そして税法は法律を丸暗記しなければならないわけですが、その量が半端ありません。私の場合は、財務諸表論・簿記論は大丈夫だったのですが、税法の暗記がどうしても苦手で、ここで断念してしまいました。3年くらい本気で取り組んでいたので、諦めるときはかなりの喪失感がありました。

しかしながら今思えば、その後続けていても、私には向いていなかったと思います。
大切なのは、ちゃんと思いを遂げるためには「自分に適していて、やりたい事」を冷静に見つけることがだと思います。そうしなければ無駄な努力をすることになります。
努力は「どれだけ頑張るか」も大切ですが「何をどう頑張るか」の方がもっと重要だと思います。

自分で考え自分で決める事が大切
自分にとって何が大切なのかなんて、他者は理解できません。
親に従って、人生に不満を持つよりも、上手くいかなくても自分で決めた人生の方が良いです。
知人や世間の評価もあなたの価値観とは異なるかもしれません。
価値観はみんな違うのです。
自らの心で「真理をあきらかにみる」、そして自分で何をするかを決める事が大切です。

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