少ない事例から都合の良い判断をしていませんか?それ軽率な一般化です。

認知の歪み

自分の身の周りでたまたま起こった出来事、自分がたまたま見聞きした事象から、「これはこうだ」と断定的な結論を引き出し、それを一般化してしまうことを「軽率な一般化」といいます。

例えば、あなたの廻りにいるB型の人がたまたま「マイペース」だった場合、全てのB型の人が「マイペース」だと決めつけるのは「軽率な一般化」です。なぜならサンプル数が少なすぎるからです。

このように、「軽率な一般化」は少ないサンプル数や偏ったサンプルからの思い込みや決めつけで発生します。
特に事例が少ない少数派(マイノリティ)は、ステレオタイプにはめられて見られがちです。
いわゆるレッテル貼りも、少数の事例を極端に語ろうとする点において軽率な一般化と同じです。
また、人の話を鵜呑みにするのも危険です。
マスメディアの発信は、ある種のバイアスがかかっている場合が多くあります。
製作者の報道姿勢によって、伝わり方が異なってきます。そして世論は少なからず影響を受けています。
影響力がある人が発する言葉に人々は感化されます。
「韓国人はXXだ」「中国人はXXだ」と決めつけた動画が多くありますが、当てはまらない事例も多くあるはずです。軽率な一般化は、人々を扇動し暴動や戦争を引き起こす可能性があります。
私たちは、冷静に客観的に正しく自分の頭で判断しなければなりません。

サンプル数は十分ですか?

いくつの事象から、結論を出しているのかサンプル数を確認しましょう。
もっともらしいアンケート結果でもサンプル数が少なかったりします。
少ないサンプル数では、正しい根拠になりえません。

サンプルに偏りはありませんか?

サンプルが、特定の分類に偏っていると、全体の傾向として正確にできません。
年齢や性別や地域や生活レベルなどによって結果は異なります。

当てはまらないケースはありませんか?

当てはまらないケースがある場合、その論理展開はどこか間違っているか漏れがあります。
本当に正しいのか反証する必要があります。

事例:「起業(企業)の生存率。10年で6%は本当か?」
インターネットの色々な記事に「国税庁の統計によると設立10年での生存率は6%」と書かれているものが散見されます。
しかし、国税庁のホームページを確認しましたが、該当するデータはありません。
中小企業白書2011年によると以下の記載がありました。10年で約70%生存ですね。

(出典:中小企業庁HP 中小企業白書2011年版全文 第3-1-11図)

2011年2017年の中小企業白書で以下の通りです。

  • 2011年版では5年後で約80%の生存率、10年後で約70%です。
  • 2017年版では5年後で約80%と同様の結果となっています。

最初に紹介した10年後6%と非常に大きな乖離がありますね。

(出典:中小企業庁HP 中小企業白書2011年版全文 第3-1-11図)

ここで気を付けたいのは対象企業が「帝国データバンクに登録されている企業」に絞られているという事です。
帝国データバンクに登録されている企業には、零細企業や個人事業主は含まれておらず、比較的安定している企業、又は規模の大きい企業が対象になっている可能性があります。

私も小さな企業を起業していた経験があるのですが、その経験から言うと起業してしばらくは「帝国データバンク」には登録されていませんでした。「帝国データバンク」に登録されたのは、大手企業との直接取引の際に信用調査の為、登録された記憶があります。起業して6年目の頃だったと思います。

サンプル数やサンプルの偏りから結果は大きく異なります。
正しく考えるためには、正しく根拠(データ)を集めることが大切です。
数字は嘘をつかないと言いますが、数字を用いて嘘をつくことは容易です。
都合のいい情報だけをピックアップ事を「チェリーピッキング」と言います。
結論ありきで都合のいい情報だけピックアップしていませんか?

世の中には「軽率な一般化」が溢れています。
私たちは、その根拠(データ)は本当に正しいのかと疑うことが大切です。
そのためには、他人のデータを鵜呑みにするのではなく、冷静に客観的に正しく自分の頭で判断しなければなりません。

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