自己奉仕バイアス

心理学

自己奉仕バイアスとは、失敗した時の原因は外部に帰属し成功したことの要因は自分に帰属すると考える傾向を言います。
自己奉仕バイアスの反対は「集団奉仕バイアス」です。

ジョン・C・マクスウェル著の『「人を動かす人」になるために知っておくべきこと』に以下の様な詩があります。

「人が時間をかけるのは、要領が悪いから
自分が時間をかけるのは、丹念にやっているから」
「人がやらないのは、怠慢だから
自分がやらないのは、忙しいから」
「言われていないことを人がやるのは、でしゃばりだから
言われていないことを自分がやるのは、積極的だから」
「人がルールを守らないのは、恥知らずだから
自分がルールを守らないのは、個性的だから」
「人が上司に受けがいいのは、おべっか使いだから
自分が上司に受けがいいのは、協力的だから」
「人が出世したのは、運がよかったから
自分が出世したのは、頑張ったから」

自分の失敗は過小評価し、他人の失敗は過大評価する。
自分の業績を過大評価し、人の業績は過小評価する。
どれだけ自分に甘く、他人に厳しいのかと思ってしまいます。
自己奉仕バイアスの原因は、自尊心を守ったり、自分の感情を保つ為だったりするようです。
失敗で自分が非難されたくない、責任を負わされたくないといった気持ちが強いのだと思います。

自己奉仕バイアスが顕著に表れる場面の一つとして交渉があります。
損害賠償が発生した際、損害を受けた側は、損害額を過大に評価します。
損害を与えてしまった側は損害額を過小に評価します。
そのギャップは大きくなかなか埋まらないケースが多いと思われます。

自己奉仕バイアスが顕著に表れるもう一つの場面として集団活動における責任があります。
プロジェクトで失敗した時、失敗の原因を他のメンバーや外的な要因としてしまう場合があります。失敗を他責にしてしまうと、その失敗から学べません。失敗から沢山のことを学んで次に生かしていかなければ成長はありません。

優秀な人は、「集団奉仕バイアス」傾向が強いのではないかと思います。
米国アカデミー賞授賞式を観ていると、受賞者のスピーチは、自分を支えてくれた家族やスタッフへの感謝で埋め尽くされます。
成功した場合、自身の力ではなく、他者の協力があったからとまず他者に感謝します。
また、失敗した場合、責任者である自分の責任であることを謝罪し、失敗した原因を熟考し他のメンバーの協力をお願いする事が必要だと思います。

個人的な感想ですが、自分で責任を取り、成功をみんなで分かち合う人は、比較的精神的にも穏やかです。
逆に責任を人に転嫁し成功を独り占めする人は、敵も多く、精神が病んでしまう傾向にあると思います。

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