
人はいつから大人になるのでしょうか?
私は、中学生になった時、父親から「お前はもう元服を迎える年だから、自分は大人だと自覚主いなさい。私も大人として扱うから」と言われました。
 現代の社会では、「元服」を特別の儀式として行う事は無いと思います。
 奈良時代頃から、男子が11~16歳なると成人になったことを示す儀式として行われていたそうです。
 江戸時代では、男の子は15歳の元服で前髪を剃って大人の仲間入りをし、女の子は14歳前後から島田髷を結い、成人を祝ったようです。
 父は昭和の生まれなので、「元服」を儀式として経験していないかもしれませんが、昔の武士は、中学生くらいにもなれば大人としての自覚を持ったものだと言いたかったのだと思います。
 現代では、成人式は20歳で、少年法における成人の年齢は現時点では20歳未満、これが2022年から18歳未満になるようです。
 身長が止まるのが、個人差もありますが15歳~17歳なので身体的に大人になると考え、18歳は妥当性があるのかもしれません。
 では、精神的にはと言うと、海外の若者と比べると、日本の若者はかなり幼いように思えます。17歳の時に海外に一人旅をした時、海外の若者は精神的に自立しはっきりと自分の意見を持っていたと思います
 日本では、ほとんどの若者は「社会人になる時」にはじめて社会的な責任や自立して生きていく事を実感して意識するのではないでしょうか?
 学生から社会人への意識のモードチェンジの負荷は計り知れないと思います。
 海外では、中卒・高卒で数年働いてから大学に行くなんて普通にある話だそうです。
 日本のように、みんな一律で学生から社会人へと切り替わるのは、かなり奇妙な風習のようです。
 「今日から君たちは社会人になりました」と入社で言われても、緊張だけして何が「大人」になったのか、理解できない人もいるのではないでしょうか。
 また、会社に入ってもなかなか馴染めずに、自分は役に立たないと自信喪失している若者もいるのではないかと思います。
 私も振り返ってみると、新入社員の頃は沢山の失敗をし、先輩方に数々のご迷惑を掛け、若気の至りでなりふり構わずやっていたと思います。今思えば、恐ろしく、一つ一つをまともに反省するならば、自分は役に立たないと自信喪失していたと思います。
 また、若者の中には、「ちゃんと働くことができなければ、クズになってしまう」といった強迫観念もあり、「社畜になることが大人になること」と諦めている人もいるかもしれません。
 しかしながら、精神的に大人になるという事は、精神的に会社や社会に依存する事では無く、精神的に自立するという事ではないかと思います。
 精神的に自立するという事は、自分はどう生きたいかを理解し、自分や自分の運命を素直に受け入れ、押し流されることなく、自己を充実させ満足させる事ができるよう、精神的に成長する事ではないかと思います。
 蝶が幼虫からさなぎになり成虫になるように
 あらゆる文明・文化・社会のなかで、ヒトは通過儀礼をきっかけに大人になっていきます。
 ただし、「入社式」や「成人式」でいきなり大人(成虫)になるのは、変化が大きすぎるのではないでしょうか。
 「元服(中学生)」の年齢で、そろそろ大人(さなぎ)だよと言われ、大人になる事を意識し始める方が、自分の思う大人(成虫)になりやすいのではないかと思います。
  
  
  
  
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